寝る前にスマホでぬりえをしてもいいのか
画面を見ること自体より、その画面が何を要求してくるかのほうがずっと効きます。夜に向いている点、危ないのは「あと一色だけ」、そして寝る前にやるなら押さえておく四つ。
布団に入ってから、もう少しだけ何かしたい。けれどニュースを読むと頭が動き出しますし、短い動画を開けば三十分が消えます。それでぬりえアプリはどうなのか、という順番でこの問いにたどり着いた人が多いはずです。先に結論を書くと、画面を見ること自体よりも、その画面が何を要求してくるかのほうがずっと効きます。
夜の画面で本当に問題になること
この話題ではまずブルーライトが出てきますが、ここは正直に書いておきます。夜の光が体内時計に影響するという方向の研究はありますが、就寝前の数十分のスマートフォン使用が眠りをどれだけ動かすのかについては、結果が一致していません。遮光の機能を入れれば眠りが良くなる、という主張も根拠は強くありません。この記事は、睡眠への効果も害も主張しません。
かわりに、はっきりしていることが二つあります。
- 明るさの落差。真っ暗な部屋で明るい画面を見ると、目は画面と暗闇のあいだを往復させられます。これは不快さとしてはっきり出ますし、照明を一つ点けるだけで消えます。
- 中身が何を要求してくるか。返事を待っている通知、続きが気になる動画、勝ち負けのあるゲーム。眠りの手前で頭を起こしてしまうのは、光よりもこちらです。
寝る前に何を開くかを選ぶときは、二つ目を基準にしたほうが実用的です。光の量は設定でどうにでもなりますが、頭を起こしてくる中身は設定では消せません。
ぬりえが夜に向いている点
決めることがほとんどない
番号どおりに塗る行為では、何を描くかも配色も、開く前にすべて決まっています。残っているのは、いま選んでいる色の領域を押していく、それだけです。一日じゅう大小の判断を積み重ねてきた頭にとって、決めることがないというのは、それ自体が休みに近い状態になります。
途中でやめても失うものがない
進み具合は領域ごとに1バイト、端末の中に保存されます。塗ったそばから残るので、眠くなった瞬間に画面を閉じてかまいません。連続日数もなければ時計もないので、今日開かなかったことで減るものは何一つありません。ここは夜に使う道具として決定的です。「あと少し続けないと途切れる」という圧力を持つアプリは、寝る前にいちばん向いていない種類のアプリです。
押し間違いに罰がない
眠い時間帯は、指の精度も目の精度も落ちます。Numbrush では、選んでいる色に属さない領域を押しても何も起きません。違う色で塗られることも、何かが減ることも、警告が出ることもありません。取り消しボタンがないのは、取り消す対象が生まれないからで、消しゴムがないのも同じ理由です。眠い頭で操作しても損害が出ない、というのは夜には効きます。
危ういのは「あと一色だけ」
向いていない面も書いておきます。この形式は終わりが見えるので、いまの色を終えてしまいたい、という引力が働きます。そして一色が終わると、次の色がそこで待っています。「あと一色だけ」を三回くり返して気づけば一時間、というのは実際に起きることです。
対処は二つあります。ひとつは、区切りを絵ではなく色に置いたうえで、色の途中で閉じてもよいと先に決めておくこと。1枚につき12色なので一色は区切りとしてちょうどよい大きさですが、それでも半分で閉じて困ることは何もありません。次に開いたとき、キャンバスは置いていったそのままです。
もうひとつは、開く前に終わりを言葉にしておくことです。今日はこの色だけ、と決めてから始めると、色が終わったところで自然に手が止まります。決めずに始めると、止まる理由がどこにも生まれないまま進みます。
夜にやるなら、この四つ
- 部屋を真っ暗にしない。弱い間接照明をひとつ点けて、画面と周囲の明るさの差を小さくします。夜の不快さのいちばん大きい原因はここで、対処もいちばん簡単です。
- 画面の明るさを最大のままにしない。部屋の明るさと釣り合うところまで下げます。画面が光っていると感じない程度が目安です。
- テーマを環境に合わせる。システム追従・ライト・ダークの三つがあります。暗い部屋ではダークのほうが画面全体の平均的な明るさが下がって楽ですが、明るい部屋ではライトのほうが見やすいこともあります。夜だけ切り替えるより、寝る前の環境に合う一つを決めてしまうほうが迷いません。
- 端末を顔に近づけるかわりに、絵のほうを拡大する。全体表示から12倍まで寄れるので、細かいところを見るために距離を詰める必要はありません。首と肩にも効きます。
密な絵は夜に開かない
絵の選び方も効きます。領域が細かい曼荼羅は、指の精度が落ちている時間帯にはそれだけで作業になります。長押しすれば2.4倍の拡大鏡が浮いて、親指の下がそのまま見えるので詰められないわけではありませんが、寝る前にやることとしては手数が多すぎます。夜に開くなら領域が大きめの絵を選び、拡大鏡を出さずに進める範囲でやめておくほうが穏やかです。
それと、通信が要らないことは夜にはささやかな利点になります。絵はすべてアプリに同梱されていて、開くときに読み込みの待ちも、接続の失敗もありません。機内モードのままでも、いつもどおり開きます。
この記事がしない主張
ぬりえが眠りを良くする、とは書きません。そう感じる人はいますし、その感じ方を疑う理由もありませんが、根拠として示せるものがないからです。書けるのは、時計も連続記録も広告もなく、押し間違いに罰がなく、いつでも中断できる、という設計上の事実だけです。夜に何を開くかを選ぶ材料としては、それで十分だとも思います。
寝つけない日が続いている、夜中に何度も目が覚める、日中の眠気が生活に出ている——こういったことがあるなら、それはアプリを選び直す話ではありません。医療者に相談してください。
よくある質問
寝る前にぬりえアプリを使うと眠れなくなりますか
そういう主張も、その逆の主張もできません。就寝前の画面使用が眠りをどれだけ動かすかについて、研究の結果は一致していません。実務的に効くのは、部屋を真っ暗にしないこと、画面の明るさを部屋に合わせること、そして頭を起こしてくる中身を開かないことです。
夜はダークテーマにしたほうがいいですか
暗い部屋ではそのほうが楽なことが多いです。画面全体の平均的な明るさが下がるからです。ただし明るい部屋ではライトのほうが見やすいこともあります。システム追従・ライト・ダークの三つから、寝る前の環境に合う一つを選んでおくとよいです。
眠くなって途中でやめると進み具合は消えますか
消えません。進み具合は領域ごとに1バイト、塗るそばから端末の中に保存されます。連続日数も時計もないので、今日やめたことで減るものはありませんし、来週開いても置いていったそのままです。
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