通勤電車の暇つぶしに、ぬりえアプリは向いているか
揺れる、片手しか空かない、降りる駅で急に終わる、地下では電波がない。この四つに対して、ぬりえアプリがどう答えるかという話です。
片道三十分の行き帰りをどう使うかは、意外と生活の質に効きます。ニュースを読めば頭が動き出しますし、動画は音の扱いが面倒で、ゲームは降りる駅で中断されると気持ちが悪い。その隙間にぬりえアプリが入るかどうかは、四つの条件をどう捌くかで決まります。揺れ、片手、突然の中断、そして電波です。
条件その一:揺れる
走っている車内では、狙った一点を押すのはかなり難しくなります。しかもぬりえで問題になる領域は、画像の上で数画素の幅しかないことがあります。ここを個人の技量で解こうとするのは無理があります。
この部分はアプリ側で解かれているべきものです。Numbrush は触れた点の1画素を読むのではなく、そのまわりの小さな円の中に現れる領域番号を数え、最も多く現れた未塗りの番号を選びます。すでに塗った領域は投票から外れます。狙いようがなかったからです。円の大きさは全体表示でおよそ14画像画素にあたり、拡大すると縮みます。揺れて数画素ずれた程度なら、この補正の内側に収まります。
それでも足りない小さな領域には、長押しがあります。押したままにすると2.4倍の拡大鏡が浮き上がり、親指の下にある範囲がそのまま見えます。中心の十字が実際に塗られる場所なので、揺れながらでも位置を合わせてから離せます。狙って祈るのではなく、見て確かめる操作に変わります。
そして最後に、押し間違いに罰がありません。選んでいる色に属さない領域を押しても何も起きず、違う色で塗られることも、何かが減ることもありません。車内でいちばん効くのはこの一点かもしれません。揺れて外すことが前提の環境では、外した代償がゼロであることが体験のすべてを決めます。
条件その二:片手しか空かない
吊り革を持っていれば残るのは片手で、操作は親指だけになります。親指は指の中でも接触面が広く、届く範囲も限られています。
ここで効くのは、この形式の入力が「押す」だけだということです。線を引く必要も、なぞる必要も、長い距離をドラッグする必要もありません。一回の押しで一つの領域が丸ごと埋まります。片手で成立する数少ない画面操作の形です。
ただし、親指では画面の遠い隅に届きません。混んでいる車内では拡大の操作もしづらいので、密な絵を無理に進めるより、領域が大きめの絵を選んでおくほうが現実的です。混雑の程度に合わせて絵を選び分ける、というのは実際にやってみると効きます。
条件その三:降りる駅で急に終わる
通勤中の暇つぶしがつらくなる典型は、区切りの悪いところで終わらされることです。読みかけ、途中のステージ、あと少しだった何か。それを持ったまま改札を抜けることになります。
ぬりえには区切りが二段階あります。絵と、色です。1枚につき12色なので、一色を終える、というのが自然な単位になり、片道でだいたいこの単位が一つか二つ進みます。そして色の途中で終わっても何も起きません。進み具合は塗ったそばから領域ごとに1バイトで端末に保存されているので、駅に着いた瞬間に画面を消してかまいません。
ここには連続日数も時計もありません。今日開かなかったことで減るものはなく、一週間空けても絵は置いていったそのままです。「乗っているあいだだけやる」という使い方が成立するのは、中断に何の代償もないからです。
条件その四:地下では電波がない
地下鉄やトンネルで止まるアプリは、通勤の道具としては失格です。読み込み中の表示が出た時点で、その数十秒は失われます。
Numbrush は絵をすべてアプリに同梱していて、外へ取りに行きません。アカウントもなく、端末の中の匿名の識別子だけで動くので、起動時のログインも同期の待ちもありません。機内モードでも地下でも、挙動は地上とまったく同じです。広告がないので、絵と絵のあいだで読み込みが挟まることもありません。
乗っているあいだの段取り
- 乗る前に色を一つ選んでおく。選んだ時点でその色の未塗り領域が全体で強調表示されるので、座ってすぐ押し始められます。
- 番号は読まない。番号が描かれるのは1.8倍より拡大したときだけで、混んだ車内で拡大するより、強調表示された領域を押していくほうが速いです。
- 同じ色の最後の数片は自分で探さず、次の未塗り領域へ飛ぶ操作を使う。目でキャンバスを走査する作業は、揺れる車内でいちばん消耗します。
- 降りる二駅前になったら新しい色に手を出さない。いま押している色を続けて、着いたらそのまま閉じます。
向いていない場合
正直に書いておくと、合わない条件もあります。ぎゅう詰めで腕が上げられない車内では、そもそもどんなアプリも使えません。車内で細かいものを見ると気分が悪くなる人にとっては、密な絵は良い選択ではありません。乗り物での近距離作業がつらいタイプの人は、この形式そのものより先に、揺れとの相性を確かめたほうがよいです。
逆に、座れる路線で、片道二十分から四十分くらいという条件なら、この形式はかなりよく噛み合います。準備が要らず、いつ始めていつ終えてもよく、外しても代償がなく、通信も要らない。通勤という時間に対して、これらは偶然ではなく実際に効く性質です。
よくある質問
揺れる電車の中でも小さい領域を押せますか
押せます。触れた点のまわりの円の中で最も多く現れる未塗りの領域が選ばれるので、数画素のずれは補正の内側に収まります。それでも足りないときは長押しで2.4倍の拡大鏡が出て、中心の十字が実際に塗られる場所を示します。外しても何も起きないので、車内で試しながら押しても問題ありません。
地下鉄で電波がなくても使えますか
使えます。絵はすべてアプリに同梱されていて、外へ取りに行きません。アカウントもないのでログインも同期もなく、機内モードでも地上と同じように動きます。
駅に着いて急に閉じても大丈夫ですか
大丈夫です。進み具合は塗るそばから領域ごとに1バイトで端末に保存されます。連続日数も時計もないので、中断に代償はありません。次に開いたときは置いていったそのままです。
実際のキャンバスで試す
Numbrush は大人のための数字ぬりえです。曼荼羅、バラ窓、幾何学模様。1枚につき12色、狭いところには拡大鏡、押し間違えても失うものはありません。無料、オフライン、広告なし、アカウントなし。