拡大すると色が違って見えるのはなぜか
同じ色が、小さい領域と大きい面とで別の色に見えます。原因は目の側と画面の側の両方にあり、どちらも避けようがありません。
細い領域を塗ったときには沈んだ色に見えたのに、拡大したら思ったより明るかった。あるいは、同じ番号の色が絵の場所によって別物に見える。これは表示の不具合ではなく、目の性質と画面の性質が両方効いた結果です。原因を分けて見ていきます。
理由その一:周囲が色の見え方を変える
ある色をどう感じるかは、その色だけでは決まりません。まわりに何があるかで変わります。同時対比と呼ばれる現象で、まったく同じ色が、暗い背景の中では明るく、明るい背景の中では暗く見えます。
ぬりえで問題になるのは、輪郭線が黒に近いことです。細い領域は、面積のわりに輪郭に接している割合が非常に高い。すると、その領域の色は視覚的に輪郭の暗さと混ざり、同じ色を大きな面で見たときより暗く沈んで見えます。拡大すると領域の面積が増え、輪郭の影響が相対的に減るので、色が浮き上がってきます。
同じことは色相についても起こります。隣り合う領域の色が、互いの見え方を引っ張ります。曼荼羅のように同じ色が絵のあちこちに散らばる図柄では、この効果で「同じ番号なのに違う色に見える」が普通に起こります。
理由その二:全体表示では画素が平均されている
こちらは目ではなく画面の話で、より直接的です。
キャンバスは長辺1536ピクセルあります。これを端末の画面にちょうど収めて表示すると、画面の1画素が画像の複数画素ぶんを担当することになります。つまり、画面に出ている色はすでに周囲との平均です。細い領域なら、その平均のかなりの部分を輪郭の暗さが占めます。
大事なのは、これが錯覚ではないという点です。目に届く前の段階で、物理的に混ざっています。拡大するとこの平均がなくなり、領域の色がそのまま出るので、色が変わって見えるのは当然のことです。
補足しておくと、色として表示される絵の下には、領域番号を持つもう一枚の画像があります。こちらは色ではなく数を運んでいるので、平均されては困ります。だから最近傍で標本化され、ミップマップは使わず、カラースペースのタグも付けずに転送されます。数に色変換をかければ、変わるのは数そのものだからです。ここを取り違えると、境界という境界に違う色の細い縁が出ます。
理由その三:画面のほうが勝手に変わっている
塗っているあいだに、端末が表示を調整していることがあります。
- 自動輝度。部屋の明るさに合わせて画面の明るさが変わります。ゆっくり変わるので気づきにくく、しかも明度の印象を直接動かします。
- 色温度の自動調整。周囲光に合わせて画面全体の白の色味を変える機能があります。暖色寄りに振れると、青系の色が特に変わって見えます。
- ダークテーマ。背景が変われば、理由その一がそのまま働きます。同じ絵が、ライトとダークで違う印象になります。
- 見る角度。液晶では、正面から外れると明度や色が変わります。膝の上に置いた端末を見下ろしているときは、それなりに角度がついています。
実際的な対処
- 色を判断するときは拡大した状態で見る。全体表示での見え方は、輪郭と平均された結果です。
- 部屋の明るさを一定に保つ。塗っているあいだに窓の外が暗くなると、自動輝度が静かに効いてきます。
- 端末を正面から見る。膝の上ではなく、目線に近い角度に持ってくると安定します。
- 同じ絵の中で色を比較したいときは、二つの領域を同時に画面に入れて見る。時間をおいて比較すると、その間に順応が進んでしまいます。
- 画面の色と印刷物の色を一致させようとしない。これは追いかけても届きません。発色のしくみが別物です。
なぜ絵のほうも滲まないように作られているのか
元になる絵は、輪郭をぼかさずに描かれています。アンチエイリアスをかけません。理由は見た目ではなく工程にあって、境界が滲んでいると、そのあとで領域に分ける処理がきれいに通らないからです。平坦な色面がきっぱり隣り合っていれば、どの画素がどの領域かに曖昧さが残りません。
その結果として、拡大したときの見え方も素直になります。境界で色が混ざっている画素が元からないので、拡大していけば、領域の色はその領域の色として出てきます。全体表示で混ざって見えるのは表示の段階の平均であって、絵そのものが濁っているわけではない、ということです。
よくある勘違い
「拡大したら色が変わったので、塗り間違えたのかと思った」という反応がよくありますが、番号と色の対応は絵の中で一意です。同じ番号の領域は必ず同じ色で塗られます。違って見えているのは、周囲と表示の効果です。
それから、「この色は隣の色と近すぎて区別できない」と感じたときは、拡大して確かめる前に、選んでいる色の強調表示を頼るほうが確実です。色を選ぶと、その色の未塗り領域が印されます。無地の灰色、市松、脈打つ輪郭の3種類から、その絵で読みやすいものを選べます。色そのものを見分ける必要がなくなるので、近い色が並ぶ絵でも迷いません。
よくある質問
同じ番号なのに場所によって色が違って見えます
番号と色の対応は絵の中で一意なので、実際には同じ色です。違って見えるのは、周囲の色との同時対比と、全体表示では画面の1画素が画像の複数画素を平均していることによります。拡大すると本来の色に近づきます。
色を確かめるにはどうすればよいですか
拡大して、その色が大きな面として見えている状態で判断してください。全体表示では輪郭の暗さが混ざっています。あわせて部屋の明るさを一定にし、端末を正面から見ると安定します。
画面の色と印刷した色が合いません
合わせようとしないほうがよいです。発色のしくみが違うので、環境光や紙の白さも含めて一致させることはできません。画面上で見て気持ちよければ十分です。
近い色が並んでいて区別できません
色を選んだときの強調表示を使ってください。選んだ色の未塗り領域が印されるので、色そのものを見分ける必要がなくなります。印し方は無地の灰色、市松、脈打つ輪郭の3種類から選べます。
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