老眼で数字が見えにくいとき
スマートフォンを遠ざけても解決しません。数字も一緒に小さくなるからです。効くのは距離ではなく、的そのものを大きくすることです。
数字が小さくて読めない。腕を伸ばせば少しましになる気がするけれど、今度は小さすぎて結局読めない。眼鏡をかけたり外したりしながら、そのうち面倒になって閉じてしまう。四十代半ばを過ぎたあたりから始まるこの状態は、目が悪くなったのではなく、近くにピントを合わせる力が落ちているというだけのことです。
老視は故障ではありません
目の中のレンズは、近くを見るときに厚みを変えてピントを合わせています。この調節する力は加齢とともに落ちていき、四十代の半ばあたりから自覚されることが多くなります。これが老視です。誰にでも起きる通常の変化で、視力そのものが落ちたわけではありません。遠くはよく見えるのに近くだけ読めない、という状態になるのはそのためです。
遠ざけても解決しない理由
ここが塗り絵にとっていちばん大事な結論です。老視の応急処置として、みんな自然に腕を伸ばします。ピントの合う距離が遠くへ移っているので、これは理にかなっています。新聞や本ならこれで読めます。
ところが画面の数字は、それでは読めるようになりません。端末を遠ざけると、ピントは合うようになるかもしれませんが、数字は視野の中で同時に小さくなるからです。読めない原因が二つあって、遠ざける操作は片方を解決して、もう片方を悪化させています。
だから効くのは距離ではありません。的そのものを大きくすること、つまり拡大です。
実際にやること
- OSの画面表示と文字サイズの設定を見直す。アプリの中の数字には効かないことが多いのですが、メニューやボタンの文字はこれで大きくなります。まずここを直しておくと、アプリの外での摩擦が減ります。
- アプリの中では拡大を既定の姿勢にする。全体表示のまま塗ろうとして、読めないところだけ拡大する、という使い方をしている人が多いのですが、逆にしたほうが楽です。最初から拡大した状態で進めて、全体を確かめたいときだけ縮小する。
- 領域が大きめの図柄を選ぶ。領域が大きければ数字も大きく描かれます。細かい曼荼羅は、老視とはいちばん相性の悪い組み合わせです。
- 明るいところで塗る。明るいと瞳孔が小さくなり、ピントの合う範囲がわずかに広がります。効果は劇的ではありませんが、確かにあります。暗い部屋で読めなかった数字が、灯りをつけると読めることがあります。
- 眼鏡を拭く。ばかばかしく聞こえますが、実際に効きます。皮脂の膜が一枚あるだけで、細かい文字の見え方は目に見えて変わります。画面も同じです。
累進レンズの人へ
遠近両用の累進レンズをかけていると、もう一つ特有の問題が起きます。近くを見るための度数はレンズの下のほうに入っているので、近くのものはレンズの下側を通して見る必要があります。ところがスマートフォンは膝の上や胸の前など、低い位置で持つことが多い。すると視線は下を向き、レンズの下側ではなく上側を通ってしまい、いちばん見えない組み合わせになります。
対処は、端末を目の高さに近いところまで上げて、視線を水平に近づけることです。姿勢としては不自然に感じますが、レンズの正しい部分を通せるようになります。首も楽になります。
受診の話
老視そのものはふつうの加齢変化ですが、次のような場合は別です。近くの見え方が急に変わった、片目だけ見えにくい、まぶしさや物のゆがみが出てきた、目の疲れや頭痛が続く。こうした場合は眼科や検眼で診てもらってください。眼鏡の度が合っていないだけのこともありますし、そうでないこともあります。この記事は診察の代わりにはなりません。
よくある質問
スマホを遠ざければ数字は読めますか
読めません。ピントの合う距離には近づきますが、数字も視野の中で同時に小さくなるからです。紙の本なら文字の大きさが変わらないので遠ざける方法が効きますが、画面では的も一緒に縮みます。効くのは距離ではなく拡大です。
老眼鏡をかけたまま塗ってよいですか
構いません。近くにピントが合う状態で作業するのがいちばん楽です。累進レンズの場合は、端末を低い位置で持つとレンズの上側を通してしまい見えにくくなるので、目の高さに近いところまで上げてみてください。
ずっと拡大したまま塗るのは変ですか
変ではありませんし、むしろ推奨できる進め方です。全体表示で塗って読めないところだけ拡大する、という順番だと、拡大と縮小を延々と繰り返すことになります。最初から拡大して進めて、全体を見たいときだけ引くほうが疲れません。
明るさは関係ありますか
関係します。明るいところでは瞳孔が小さくなり、ピントの合う範囲がわずかに広がるためです。劇的な効果ではありませんが、暗い部屋で読めなかった数字が灯りをつけると読めることは実際にあります。合わせて眼鏡と画面を拭いてみてください。
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